ギュスターヴ・ル・ボンの著書である「群集心理」のページ19では群集を「黴菌」としています。これに関し武田砂鉄氏はNHKの番組の中で反応しています。おおよその意見としては
「今、こんな発言をしたら絶対炎上する」
です。私も一瞬そう思いましたが、原文を当たってみることにしました。こういう意味でインターネット時代はうれしく、群集心理の原文を見ることが出来ました。もちろん、私はフランス語は読めないので、とりあえず該当の部分を日本語版と比較して突き止めました。
Google翻訳を使ったところ、黴菌と訳される部分はmicrobesと書かれています。フランス語の意味は単に微生物です。
そう、群集心理の日本語訳がやや変なわけです。日本語で黴菌(バイキン)とは、「当事者に悪影響を与える微生物」という意味で使われています。だから、そんなものと人間を一緒にしたらいけないという意識が働いたと考えます。
すこし訳者を恨みたくなりますが、ある意味これもプロモーションとか販売促進の一環かもしれません。人々を黴菌扱いする本と言うことで炎上して話題になるわけです。そう、今でいう炎上マーケティングです。
ちなみに、黴菌と言う単語は冒頭で出てくるだけで、後は微生物とか適切な言葉が当てられています。だから、私は最初に黴菌と言う言葉を使ったのは販売促進の手法なのではと考えています。
他にはこの現象は人々の短絡的な部分を表に出しているのではと考えます。そう、言葉だけに反応して動くわけです。文章全体を見て判断するのではなく、単語で脳が逝ってしまうわけです。まあ、最悪です。ChatGPTは賢くなっているのに、人間の方は昔のデジタルコンピュータによる構文解析以下の知性になっているわけです。
痛烈に人を馬鹿にする「ナシム・ニコラス・タレブ」という著者は、単語だけで反応するのは良くないと言っています。まあ、当人はアホとか馬鹿とか間抜けとか言っていますけど。
「バカな人はココナッツ島でココナッツを探す」と言っています。正直、私はココナッツ島は知らないですけど、文脈から言うと「ココナッツ島という場所は名前だけでココナッツなど無い」と思われます。これに対して、そういう名前が付いているからココナッツがあると思い込むのは短絡思考すぎると警告していると考えます。
タレブは「宗教」と言う言葉は場所や時代で示している物は全く違うと言っています。「死ねば楽園に行けると思っている集団」「日曜日だけ集会に行ってお話を聞く集団」「マジでは信じないが、良い話として生活指針になる」「実用より教養」「守らないと処刑されるから従う」これら全てが宗教と言う概念で定義されることです。逆にこれらを何も言わずに羅列したら、誰もここから「宗教」という上位概念は想像できないと考えます。
テレビなど大衆メディアはタレブだったらバカにするような方法で人々を誘導します。あと、馬鹿馬鹿しい話ですが、黴菌と言う言葉に反応して群集心理を手に取った人は、既に群集心理に侵されており、タレブからもバカにされると考えます。
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