成功している人が勧める本はいろいろありますが、共通するのは「行動経済学」です。行動経済学とは人の行動を中心にした経済学です。 人の行動は全て「行動経済学」とも言えますが、ここでは理詰めで解決できるものはあまり議論されません。どちらかと言うと、理屈に反する行動が研究として取り上げれます。
その中で「ヒューリスティックス」と言うものがあります。大雑把に言うと、手近な資源を使って判断するという事です。すでに知っている事、今見えることを判断基準にするわけです。その理由は「決断の速さ」と「低コスト」です。目の前で何かが発生した場合に、調べ事をしたり、指揮命令系統を使ったら時間が足りないことがあります。その場合、その当事者が持っている知識と技術で対処するわけです。
低コストとは、いわゆるめんどくささです。いちいち考えるのは面倒と言う考えです。もう少し厳密にすると、下らないことで会社の指揮命令系統は動かさないというものです。自分で考えれば一瞬だが、稟議書を書いていたらあなたは1時間、上司は1時間という時間が必要になります。
もう少し知られていない事実としては、現場警察官は「ヒューリスティクス」を多用しています。とりあえず現場判断で怪しいと思えば「容疑者」として拘束するわけです。ただ、この場合は後で綿密に調べたうえで釈放するわけです。 ただ、世間は「容疑者」を犯人と認識しているため非常に印象は悪いですけど。
この警察のヒューリスティクスもやや迷惑ですが、私たちが自然に行っているヒューリスティクスはさらに悲劇です。
悲劇の理由は、容疑者と認定したら、全て犯人にしてしまうところです。即答のためにヒューリスティクスを使うが、そのあとは放置するわけです。だから、問題が発生するわけです。
『行動経済学入門』ではこのヒューリスティクスについて細かく説明しています(ページ15 第二章)。その中で印象的なものを少しぼやかして紹介します。
質問として、以下の二人の女性像のうち、どちらの方が存在しそうか?です。
- 銀行で働く女性
- 平日は銀行で働き、休日は女性運動活動家として過ごす
ここで、なぜか、平日は銀行で働く女性活動家の方が存在しそう!と判断するわけです。
数学で確率論を習っていれば、これは誤りだと一発で分かりますが、唐突に聞かれると「条件が悪い方」を選ぶわけです。 理由としては、具体的なイメージが思い浮かぶほどよくある事と勘違いするわけです。
交通事故と病気で死ぬ人のどちらが多い?という質問も、交通事故と答える人が多いです。理由としてはテレビや新聞で毎日のように交通事故が報道されるからです。一方で、病気で死んだ人は報道されません。この間違えもヒューリスティクスからです。
行動経済学入門では、なぜ人は合理的な判断が出来ないのか?という例が多く分析されています。是非、読んでみて下さい。
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