バカを何とか!という本の殆どは、「バカじゃないグループに属する自称バカじゃない自分」が「バカと決めつけたグループを攻撃する」本であったりします。また、自分が決めつけたバカ像を他人に同意してもらいたいという傷の舐めあい系だったりします。
そう、自分はバカじゃないけど、バカを相手しないといけないと勝手に困っている人が喜ぶ本であったりします。
今回紹介する『フランス人哲学教授に学ぶ 知れば疲れないバカの上手なかわし方』はそれらとは大きく違う本です。 マーケティング的には同類の本として売られていますので、幸い勘違いして手にされた方は違和感があると思われます。
この本の大きなポイントは、バカのステレオタイプ的分類を意図的に避けているところです。著者のマクシム・ロヴェール氏によると、このような分類をすると皆さんは短絡思考をしてしまうから避けたという事です。そう、一例だけを提示すると自分はそういうキャラではないから安心と言う誤った考えを持つ危険性があるわけです。
本のすべてを書くとネタバレと著作権的に問題があるので一部だけにしたいと考えます。
本書では「バカを観察する者はいなく、当事者しか存在しない」としています。あなたが誰かをバカと認定したらあなたもそれにかかわっているという事なのです。これは、この本を読むテーマとして重要になります。
次に「バカは絶対的なものではなく相対的なもの」としています。単に二者間の程度の違いの話で、今目の前にいるバカは、場所や時間が変わればバカではないか、さらにひどいバカであるかどちらかと言う事です。これは皆さんにもあるのではと思います。若い時に一緒に遊んでいた仲間も今では会いにくい関係になっているなどです。これはよく聞きます。
最後に、あなたがバカだと思っている人も、相手もあなたをバカとしています。
この本では「バカの上手なかわし方」とありますが、バカとは人物を示しているわけではありません。状態を示しているわけです。そして、その状態はあなたの心の中に発生するわけです。その状態をかわす方法が本書に書かれているわけです。ここまで書けば分かったと思いますが、バカとは主体性を持った動物すべてに当てはまる事です。
著者は家にいるバカに仕事や生活を荒らされていると書いています。結論は書かれていませんが、私はペットとしての犬だと考えています。 その犬に関するバカは、犬ではなくあなたの頭の中に存在する考え方だと予想します。 だから、犬によってあなたがバカになっているわけです。そして、この場合の対策は犬を説得したり殺したりするのではなく、あなたの頭の中のバカという現象を始末すれば良いわけです。これが本書で言いたい内容だと考えます。
コメント
コメントを投稿